先日もハワイで大規模な山火事があり、多くの犠牲者が出ていますが、地球温暖化の進行に伴い、山火事は年々のその進行速度も、延焼時間ものびています。例えばヨーロッパでは26万ヘクタールが、日本では約7万ヘクタールが1年間で消失しています。
このような山火事を早い段階で検知するのは、現状は人力による目視での確認ということもあって、非常に難しいものとなっていました。しかし、センサーとディープラーニングを組み合わせることで早期に検知しようとする"ファイアーテック"スタートアップが注目されています。それがドイツで創業した
木の精霊ドライアドを名前に冠したこのスタートアップは、山火事出火後数分から数時間で出火を検知することを目標としています。太陽電池で駆動するセンサーを1ヘクタールあたり1つの割合で森の中の木々につけることで、温度や湿度、気圧に加えて水素や一酸化炭素といった微量の気体を検知することで、山火事の発生を検知します。もちろんセンターによるデータだけでなく、センサーによるデータ集積に基づいた機械学習で山火事の発生状況を判断しています。一度出火を検知すると、メッシュネットワークを使い、アラートを送信するという仕組みになっています。
このDRYADはすでに去年1年でUS、ヨーロッパ、カナダで10000個のセンサーを販売しており、1450万ユーロ(約23億円)の資金調達にも成功しています。
2030年までには12億個のセンサーを世界各地に設置することで、3.9百万ヘクタールの森林を山火事から守り、17億トンのCO2を削減することを目標としています。
同様なサービスは日本国内では市場規模が小さいので、難しいかもしれませんが、センサーとAIという組み合わせは大きな可能性を持っていることを示す一つの例でしょう。